No.016 ビスケットウォーマー
     


英国のオールドシェフィールドプレートをさらに技術開発させたエレクトロプレート技法は英国銀器の新たな発展へと向かい、世界中へと技術の波及が進みます。当時、その驚くべき技術は今まで不可能とされた事をも可能にする・・・そんな新発明だったのです。もちろんスターリングシルバーの揺るがない技術をも活かし、さらに構造上&耐久性等の面に於いても有効活用されながら普及していきます。

その中のひとつ、ビスケットウォーマーは器を支える部分と開閉動作のバネ構造など、いわゆるマジック的な要素を含む器として人々を驚かせました。しかも有力な工房が作りあげたビスケットウォーマーにはスターリングシルバー同様に評価基準を刻印されている事から、産地&年代&月日&工房名をひとつのマークとしてまとめたレジストリーマークが表示され、大量生産される器とは取扱いが異なりました。このレジストリーマークは英国の法律にて定められ、ある期間のみ使用された評価方法で、陶磁器等にも残されている物を見かけます。さらに英国銀器の有力な工房であれば尚更のこと、必ずやメーカー名の刻印を残しています。特に Fenton Brothers、James Dixon&Sons、Cooper Brothers 等が仕上げたビスケットウォーマーは実に丁寧な細工と装飾方法を残しています。

上記に紹介しておりますビスケットウォーマーをご覧いただきますと、一言ビスケットウォーマーと言えども様々なデザインが見られます。シェル型・バック型・シェル&バック混合型・さらに変形のバック型など、枠組み構造の飾り部分にもそれぞれの特徴溢れた美しいラインで仕上げられています。さらにブック型やギフトボックス型のビスケットウォーマーもございましたので、デザイン&オーダー主の要望により作られたと思います。

さらに、ヴィクトリア時代にはビスケットウォーマーをスターリングシルバーでは作ることが出来ないという事でしたが、1900年以降になり、スターリングシルバーで作られたビスケットウォーマーも見つけることが出来ました。技術革新の中、不可能であった技術も近代の技術では可能である事を付け加えさせて頂きます。また電気メッキがどんどん普及されるようになりますとヴィクトリアン以降、簡単に仕上げられるビスケットウォーマーも多々見かけますので、ご購入される時にはコンディション&状態等を十分見極めながらお選び下さい。

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